相続について

1.相続の放棄・承認・限定承認

相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、相続について、「単純承認」、「限定承認」、「相続放棄」の意思表示をする必要があります。

1)単純承認

相続人は、無限に被相続人の権利義務を承継します。

2)限定承認

相続人は、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して、相続を承認することができる。

3)相続放棄

その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなされます。相続の放棄は、その旨を家庭裁判所に申述しなければなりません。

2.法定相続分

1)配偶者と子が相続する場合

配偶者は2分の1、子は2分の1

(例 子が二人の場合 : 配偶者が2分の1、子はそれぞれ4分の1となる)

2)配偶者と直系尊属が相続する場合

配偶者は3分の2、直系尊属は3分の1

3)配偶者と兄弟姉妹が相続する場合

配偶者は4分の3、兄弟姉妹は4分の1

3.遺産分割(民法第906条以下)

被相続人による相続分の指定がない場合は、共同相続人は、その全員の同意により遺産の分割をすることができます。

遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生じますが、第三者の権利を害することはできません。

4.相続遺留分(民法第1042条)

次の法定相続人は、各割合の額を遺留分として受けることができます。

・配偶者と子 : 法定相続分の2分の1

・直系尊属  : 法定相続分の3分の1

5.特別受益者の相続分(民法第903条)

共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻等や生計のための贈与を受けた者があるときは、相続財産とみなして相続分が算定されます。

6.寄与分

共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与した者があるときは、共同相続人の協議で寄与分を定めることができます。

7.相続税

詳しくは税理士へご相談ください。

8.預貯金の引出し

各共同相続人は、預貯金債権の3分の1に当該共同相続人の法定相続分を乗じた額について単独で引き出すことができます。(上限は、標準的な当面の必要生計費、平均的な葬式の費用として、150万円と規定されています)

9.不動産の相続による所有権移転登記

相続登記の申請を義務化(令和6年4月1日施行)

不動産を取得した相続人に対し、その取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をすることを義務付ける。(正当な理由のない申請漏れには過料の罰則あり)

登記の手続的な負担(資料収集等)を軽減するために「相続人申告登記」が新設される。

(令和6年4月1日施行)

⇒ 相続人が、登記名義人の法定相続人である旨を申し出る。申請義務の履行手段の一つとする。(単独で申告可・添付書面も簡略化・非課税)

※相続登記の申請義務を簡易に履行することが可能になる。

登記官がその者の氏名及び住所等を職権で登記する(持分は登記されない報告的登記)

10.登記名義人の死亡等の事実の公示(令和8年4月までに施行)

登記官が他の公的機関(住基ネットなど)から死亡等の情報を取得し、職権で登記に表示する。(符号で表示)

⇒ 登記で登記名義人の死亡の有無の確認が可能になる。

11.所有不動産記録証明制度の新設(令和8年4月までに)

特定の者が名義人となっている不動産の一覧を証明書として発行

⇒ 相続登記が必要な不動産の把握が容易になる。

12.住所等の変更登記の申請義務化(令和8年4月までに)

所有権の登記名義人に対し、住所等の変更日から2年以内にその変更登記の申請をすることを義務付ける。(正当な理由のない申請漏れには過料の罰則あり)

※他の公的機関から取得した情報に基づき、登記官が職権で変更登記をする新たな方策も導入する。

⇒ 転居や本店移転等に伴う住所等の変更が簡便な手続で登記に反映される。

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